世界に、未完成を共有した5日間「Adobe MAX 2014」現地レポート

VAIOがお勧めするWindows.

Adobe MAX 2014に出展したVAIO Prototype Tablet PCは「VAIO Z Canvas」として商品化が決定しました。

2014年10月4日〜8日にロサンゼルスにて開催された、アドビ システムズ社主催の「Adobe MAX 2014」(以下、MAX)。世界中のクリエイターが集結するこのカンファレンスが、VAIOのニューモデル=“プロトタイプタブレットPC”のグローバルデビューの場となりました。現地入りした開発者の生の声をお届けします。

リスクを負わずに、新しい価値は生み出せない。

「未完成のプロトタイプを公の場に出し、直接体験してもらうことは、開発者にとって大きなリスクを伴う新たな挑戦でした」とMAXを振り返るのは、VAIO商品企画を担当する伊藤好文。開発初期から国内外のクリエイターと意見を交わし、厳しいフィードバックを受けてきたため世界にお披露目する準備はできていた。だが実際に体験してもらう相手は目の肥えたプロフェッショナルたち。発売前からネガティブな感想が知れ渡る可能性がないわけではない。それでも、既存の開発ルールに縛られない、新しい試みをすることで、世界中のクリエイターから評価と意見をもらえる絶好の機会であるという気持ちが打ち勝った。伊藤を含めた開発陣は、PCの開発体制としても例のない試みに期待と不安を覚えながら、世界に未だ数台しかないプロトタイプタブレットPCを抱えて、ロサンゼルスに飛んだ。

世界のクリエイターの生の声を浴び続ける。

では実際、どのようにプロトタイプタブレットPCはMAXにお目見えしたのか?MAXの正式な会期は10月6日〜8日だが、前哨戦となる4日と5日の2日間にプレカンファレンスが開催され、その中でVAIO Duo 13を使っていただいているAdobe Photoshopの伝道師と呼ばれるラッセル・ブラウン氏による“怪獣プロジェクト”のセミナーが行われた。参加者がスマートフォンやタブレットによる撮影からAdobe Photoshop CCを使った合成・編集・印刷までを行い、怪獣映画のポスターを制作するセミナーの合間で、プロトタイプタブレットPCを紹介する時間が設けられたのだ。さらに、MAX会期中は会場にVAIOブースを出展し、デジタルアーティストのレイス・バード氏がプロトタイプタブレットPCを使ってライブドローイングを実施。わずか30分ほどで個性的なクリーチャーを仕上げていくデモンストレーションを行い、プロトタイプタブレットPCの高いパフォーマンスが発揮された。同時にVAIOブース内にはプロトタイプタブレットPCを3台用意。世界各国からMAXに集まったクリエイターが、使用感を実際に確かめられる場を設けた。

試し書きに没頭するクリエイターたち。

冒頭でも述べたように、製品のプロトタイプを使用できる状態まで作り込み、それを一般のユーザーに触らせるというのは業界的にも異例なことである。そのMAXへの出展で、開発陣は大きな手応えを感じた。まず、ラッセル・ブラウン氏のセミナーでプレゼンテーションを行い、VAIOブースでは来場者と直接触れ合った伊藤いわく、「人々の反応が、前回のMAX出展のときと比べてポジティブだった」というのだ。タッチ&トライのアンケートに答えてくれた人の約70%弱がWindowsユーザーというのも驚きだった。

好評ポイントの一つは、ディスプレイ。2560×1704、250DPIという高精細な描画に対する優位性はもちろん、Adobe RGBカバー率95%以上という正確な色を確認できるということが特に評価いただいた。また、クリエイター向けPCという視点から特筆すべきポイントとして挙げられたのが、ペンのクオリティ。視差の少ないペンは、ライブドローイングをしていたデジタルアーティストのレイス・バード氏も最も評価しており、繊細な描写ができることで、タブレットPCにあまり触れる機会の少なかったクリエイターが、ブースで試し描きに没頭する光景が何度も見られた。

何が魅力かは、使う人が決めるもの。

プロトタイプタブレットPCに触れてもらうことで、CPUなど主な仕様には出てこないような細かな機能を、クリエイターの方々に大きな魅力として認識していただけると実感できたこともMAX出展の収穫だった。その一つが内蔵スタンドだ。本体を無段階で前後のどの角度にも倒すことができ、定めた角度でペン描画の作業をしてもぐらつかずにしっかり支えるヒンジは、独自の機構として非常に評価が高かった。他にも、ソフトウェアのショートカット機能をアプリケーション化し、作業をしながらペンタッチ一つで呼び出せるアプリなど、一見地味だが、ヒヤリングを重ねることで快適なクリエイティブ作業への気配りとして独自開発したもの。言葉だけでは伝えにくい、体験してわかる機能を評価いただけるのが、タッチ&トライという場なのである。

絶賛よりも、課題発見が嬉しかった。

一方で、タッチ&トライは、新たな課題も浮き彫りにする。「例えば、私たちが想像する以上に筆圧の強いクリエイターもいらっしゃいました。多くのクリエイターに触ってもらったからこそ課題も発見できた」。浮き彫りになった問題点やユーザーからの要望については、MAX開催中に随時、長野県安曇野市のVAIO本社に伝達し、検討を開始した。「広報やプロモーション担当者がブースで応対するのではなく、安曇野の開発者が現地に赴き直接ユーザーの声を聞いたからこそできた連携プレイ。直すべき点が見つかったら、すぐに取りかかる。プロトタイプタブレットPCはユーザーの声をもとにさらに進化させたいと思っています」。

MAX会場ではAdobe Premiere Proのエバンジェリストが、本機が5K映像をレンダリングなしに描画できているのを見て、自分のセッションで使わせてくれないか?と頼みに来たというエピソードもある。MAXに出展することで、「クリエイター向けに開発を進めているこのマシンの方向性は間違いではなかった」という自信をさらに深めたプロトタイプタブレットPCは、11月からも様々なクリエイターズイベントや企業イベントなどに出展し、国内ユーザーの声を集めながら新たな開発フェーズへ進む。「イベントでのファーストインプレッションがいいことは、期待の高い新製品なら当然のこと。真価が問われるのは、長期間使用した時です。そこで出てくる不満点をしっかりチューニングしなければ、本当にいいマシンにはならない」。現在、カメラマンなどクリエイターに継続的に使用してもらうモニタリングと、一般イベントでのインプレッションの両面からチューニングを推し進めている最中だ。「MAXの時のように、今後の国内イベントで集まった声にもスピーディーに対処し、プロトタイプタブレットPCのクオリティアップをどんどん図っていきます」。

たくさんの課題と共に、プロトタイプタブレットPCは帰国。安曇野では、その大切なお土産を無駄にはしまいと、開発チームの試行錯誤が続けられている。

(2015年2月20日掲載)

企画/商品プロデューサー 伊藤 好文

イベント情報

世界中のクリエイターが集まる舞台に出展します。
VAIO株式会社は、アーティストがデスクに縛られることなく、どこでもインスピレーションやアイデアをかたちにすることができるように、 デスクトップPCレベルのパフォーマンスをモバイルサイズで実現した、クリエーター向けプロトタイプのタブレットPCを10月4日から8日までロサンゼルスにて行われるAdobe MAXに出展します。

MAXでは、Photoshopのエバンジェリストであるラッセル・ブラウン氏(アドビ システムズ社 シニアクリエイティブディレクター)によるセミナーや、デジタルアーティストのレイス・バード氏によるデモンストレーションが行われました。10月6日から8日までブース出展も行い、今回ご紹介するプロトタイプタブレットPCのハンズオンデモを実施しました。

Adobe MAXとは
10月4日〜8日、米国ロサンゼルスにて、アドビ システムズ社主催の「Adobe MAX」(以下、MAX)というクリエイティビティに注目したカンファレンスが開催されます。MAXは、クリエイティブ業界のリーダー、デザイナー、デベロッパー、ストラテジスト、ビデオプロフェッショナル、写真家など、 世界から5,000人以上のプロフェッショナルが集まる年に一度の大イベントです。
http://max.adobe.com/

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